卒業式や始業式のシーズンが来ると毎年、桜前線で沢山の人が花見に出かけ、一大イベントになっています。
桜の時期が終わり通常の生活が始まり、少しずつ気候が良くなってくる頃、あちらこちらで華やかな花が咲きだします。
今、アイルや横浜駅周辺にてツツジが満開です!
ピンク、白、赤など色鮮やかなお花が町を彩っています!
あまり皆も気にも止めず、咲いているのが当たり前のようですが、毎年このツツジが咲きだすとなんだか心が躍りだします。
なぜか?
前年の初冬からずっと寒い時を経て、これからようやく暖かくなるこの頃が、1年で一番気候の良い時期だと思うからです。
今日、アイルに来る途中に綺麗なツツジをたくさん見かけたので、少し調べてみました。
ツツジの語源
ツツジという花名の語源には様々あり
・花が連なっていることから「つづき(続き)」
・花が筒状であることから「つつ(筒)」
などと呼ばれていく中で次第に「つつじ」に変化していったと言われています。
一方で、漢字では『躑躅(てきちょく)』と書かれます。
「躑」は、足踏みをするといった意味。「躅」は足づりをするといった意味です。
すなわち『躑躅』とは、「歩みを止めてしまう」といった意味があります。
花が、見る人の足を引き止める美しさを備えているという事から、このように呼ばれるようになったとされています。
『万葉集』でのつつじの扱い
ツツジは日本古来の和歌集である万葉集の時代(7世紀後半から8世紀後半)からも親しまれていたようです。
この万葉集は、天皇から農民まで様々な身分の人々(作者不詳の作品も多く存在)によって詠まれた歌が編集されていたことで、ツツジに関しても多くの視点から捉えられていました。
水伝ふ 礒の浦廻の 岩つつじ 茂く咲く道を またも見むかも
(訳:石組みの池の周りに沢山咲いているつつじが見えるこの道を、また見ることができるのだろうか。)
※水伝ふ礒:草壁皇子の宮殿の池
※草壁皇子:『万葉集』では日並皇子とされる
日並皇子宮舎人 巻2−185
山越えて 遠津の浜の 岩つつじ 我が来るまでに ふふみてあり待て
(訳:山を越えた遠くの港の浜の岩つつじたちよ、私が訪ねてくるときまで蕾のまま咲かないで、ずっと待っていてくれ。)
作者不詳 巻7−1188
これら二つの歌は、岩つつじの美しさそのものに焦点を当てた和歌として詠まれています。
風早の 美保の浦廻の 白つつじ 見れども寂し 亡き人思へば
(訳:風が激しい美保の浦に咲いている白つつじを見つけたけれど、死んだ彼女のことを思うと、なんとも寂しい。)
※美保の浦:三保半島(静岡県)の海岸と周辺の海
河辺宮人 巻3−434
栲領巾の 鷺坂山の 白つつじ 我れににほはに 妹に示さむ
(訳:栲領巾のように真っ白な鷺の坂に咲くこれまた真っ白な白ツツジよ。私の衣に染み付いてくれ、帰ったら妻に見せたい。)
※栲領巾:布で作った首に掛ける飾り布
作者不詳 巻9−1964
女郎花 咲く野に生ふる 白つつじ 知らぬこともて 言はれし我が背
(訳:あなたは一面に咲く女郎花の野に混じって咲いている白つつじのようだが、知らない間に女郎花のひとつに過ぎない私と噂が立ってしまいましたよ。)
※女郎花(オミナエシ)< 白つつじ
作者不詳 巻10−1905
これら三つの歌は、白つつじの美しさと愛しい女性とが対照的に詠まれています。
以下でも改めてまとめますが、白いツツジの花言葉は『初恋』とされ、花の純白さと女性の清純さが掛け合わされています。
特に三つ目の和歌では、このイメージがよく分かるものではないでしょうか??
ツツジはこのように様々な状況で詠まれていますが、いずれの歌を見ても、古からツツジが非常に愛でられていた花であったことが垣間見えます。
ツツジの花言葉
ツツジの花言葉は『節度』『慎み』ですが、実は花の色によってさらに異なっています。
白いツツジ・・・『初恋』
前述の和歌にもあったように、花の純白さと女性の清純さのイメージがとても良く合いますね。
赤いツツジ・・・『燃える想い』『恋の喜び』
赤は燃えるような情熱的な色であることからも、この花言葉はしっくりくるのではないでしょうか。
桃色のツツジ・・・『愛の喜び』
桃色が愛を示す色(ハートとか?)として使われる事からも、とてもイメージしやすいと思います。
紫のツツジ・・・『美しい人』
紫は高貴な色とされており、高嶺の花といったような美しさがイメージされているのでしょう。
こうして見ると、恋愛に関する花言葉がメインとなっているのですね。
比較的身の回りで多く見られるツツジが、実はこれほどまで恋愛を連想させる花であったことは、何とも驚きでした。
(子供の頃はこの花で、色水を作ってみたりなんて遊具の一つだった思い出もあります・・・。)
まとめ
見た目から、一見西洋の花のようにも見えるツツジですが、主にアジアに広く分布していて、ネパールでは国花となっているそうです。
今回調べたことで、古来より日本人に愛されている花である事がよく分かりました。この花を見ることで、心が躍るの人々がいるのは、昔も今も変わらないのものなのかもしれませんね・・・。
新学期が始まったばかりですが、ツツジのおかげで一足早く初夏の訪れを感じられました。
是非、アイルに訪れる際や、勉強やお仕事に疲れて休憩する時は、近隣でちょっとしたツツジのお花見をするのも良いかもしれません。
まだまだ寒暖の差が激しい時期ですが、皆様体調にお気をつけて下さい!
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